
病院やクリニックなどで治療を受ける際には、高額の費用が発生する場合があります。
日本では、健康保険制度が完備されていて、治療費全体の一部の負担で済みます。
しかし、保険対象外の治療や長期にわたる治療を受ける場合には負担が大きくなりすぎ、支払いが難しくなる場合もあるでしょう。
医療費用を賄うための専用融資制度として、メディカルローンがあります。
メディカルローンの特徴とメリット・デメリットについて紹介するので、資金調達手段として検討してみてはいかがでしょうか。
この記事でわかること
- メディカルローンは主に信販系と銀行系の2種類ある
- メディカルローンは治療費を分割払いにできるなどのメリットがある
- 一方審査が比較的厳しいなどのデメリットもある
- メディカルローンの審査では収入の安定性などがチェックされる
- メディカルローンが使えない場合はほかの融資方法を検討する
以上について、解説をしていきます。
メディカルローンとは目的別ローンの一種
メディカルローンとは、金融機関などが提供する目的別ローンの一種です。
お金を借りる際の融資方法には、現在はいくつかあります。
融資と聞くと、消費者金融カードローンを連想する方も多いでしょう。
カードローンの多くは、融資金の用途が限定されておらず、自由に利用できるフリーローンです。
一方、メディカルローンは医療費用を賄う目的に限定されている融資サービスで、医療費以外の用途に借入金を利用できません。
幅広い治療に適用できる
メディカルローンは、幅広い治療に適用できるケースが多いです。
公的保障制度である健康保険制度は、適用される治療内容に制限があります。
例えば、先進医療と分類される新しい治療方法は、健康保険制度の対象外となっている場合が多いです。
先進医療の場合は公的保障を受けられず、全額を負担しないといけません。
高額の医療費が発生したら、一括での支払いが難しくなるケースも少なくないでしょう。
そんな場合には、メディカルローンの利用により、高額の医療費を一定期間にわたって分割で支払いできます。
メディカルローンであれば、健康保険適用外の治療にも対応できるため、いざというときに頼りになります。
利用には金融機関の審査を受ける必要がある
メディカルローンは融資サービスの一種であるため、利用する際には取り扱い金融機関の審査を受ける必要があります。
メディカルローンの中には、受診した医療機関の窓口で手続きできるものがあり、まるで支払いを免除されたかのような錯覚を覚えるかもしれません。
しかし、実際は借金をしているため、将来にわたって返済をする義務を負っています。
また、審査の結果によっては融資を受けられないというケースも考えられます。
メディカルローンはあくまでお金を借りる行為であり、場合によっては利用できない可能性があると理解しておきましょう。
メディカルローンの種類は主に2種類

メディカルローンは、主に以下の2種類があります。
- 信販系ローン
- 銀行目的別ローン
それぞれの特徴について紹介するので、利用を検討している人はどちらが自身に合っているか検討してみてください。
医療機関と提携している信販系ローン
メディカルローンには、医療機関と提携している信販系ローンがあります。
信販系のメディカルローンの場合は、医療機関の窓口で手続きができるケースが多いため、金融機関を訪れるなどの手間がかかりません。
また、申込手続きを終えてから短時間で審査の結果が得られる点も魅力です。
信販系メディカルローンは、医療機関と提携しているケースが多いため、自分で利用する融資サービスを選択できません。
金利面などの条件を比較して、他の融資サービスの方が良いと思っても、信販系メディカルローンでは医療機関を変えない限り変更出来ない点は理解しておきましょう。
銀行が提供する目的別ローンの一種
メディカルローンには、銀行が提供する目的別ローンの一種もあります。
銀行の中には、住宅ローンや教育ローン・カーローンなど目的を限定した融資サービスを取り扱っているところもあります。
その中で、医療関連の費用を賄う目的の医療系ローンを扱っている銀行もあるのです。
大手都市銀行から、地方の銀行に至るまで、実に様々な金融機関が目的別ローンを取り扱っています。
信販系ローンと異なり、自身で金融機関を訪れて手続きをする必要がありますが、最寄りの銀行であれば手続きのために店舗を訪れるのは容易でしょう。
メディカルローンのメリットは主に3種類

メディカルローンには、主に以下の3つのメリットがあります。
- 高額の医療費を分割で支払い可能
- 保険適用外の治療にも対応可能
- 比較的低い金利で融資を受けられる
メディカルローンの特徴をしっかりと理解して、利用するか検討してみてください。
以下に、それぞれのメリットについて解説をします。
高額の医療費を分割で支払い可能
メディカルローンの利用により、高額の医療費を分割にて支払いできます。
本来、医療費は金額の大小に関わらず一括払いをするのが原則です。
先進医療など健康保険適用外の治療を受けた場合の治療費は、かなりの高額になってしまうケースが少なくありません。
一括での支払いができない場合には、メディカルローンの利用によって一定期間の分割払いで対応可能です。
メディカルローンを活用して、自己資金では本来受けられない治療を受診できる可能性が広がるのは大きなメリットでしょう。
保険適用外の治療にも対応可能
メディカルローンを適用できる診療内容は非常に幅広いため、保険が適用されない治療にも対応できます。
ここで想定している保険とは、公的制度である健康保険に加え、民間の医療保険も含めて考えるとよいでしょう。
民間の保険会社が提供している保険商品は、内容によって保険金が下りるケースが多種多様です。
医療保険に加入していたものの、受けた治療に適用しておらず、保険金がもらえないといったケースも考えられます。
そんな時でも、メディカルローンであれば融資金を治療費に充てられるケースが多いです。
幅広い診療内容に対応している点は、メディカルローンの大きなメリットといえるでしょう。
比較的低い金利で融資を受けられる
メディカルローンで適用されている金利は比較的低いため、借り入れを受ける際に金利負担を抑えられます。
種類 | 名称 | 金利(年率) |
---|---|---|
メディカルローン | イオン銀行 | 3.8~8.8% |
メディカルローン | 筑波銀行 | 3.5% |
消費者金融カードローン | プロミス | 4.5~17.8% |
消費者金融カードローン | アイフル | 3.0~18.0% |
大手消費者金融カードローンと比較すると、かなり低い利率で借り入れが受けられることがわかります。
どんな手法であれ、融資を受けると金利を負担しないといけません。
少しでも金利負担を軽減するために、比較的低金利で利用できるメディカルローンは有効だといえるでしょう。
メディカルローンにはデメリットもある

メディカルローンのメリットについて紹介してきましたが、逆に以下のようなデメリットも存在します。
- 転院する場合には残債を全額支払う義務がある場合も
- 銀行ローンの場合即日対応は不可能
- 審査が比較的厳しい
利用をする際には、メリットだけではなくデメリットの部分もしっかりと理解して、後悔しないようにしましょう。
転院する場合には残債を全額支払う義務がある場合も
治療を受ける医療機関を転院する場合、メディカルローンの残債を一括で支払う義務を課せられるケースがあります。
より良い治療を受けられる医院を見つけて、転院をしたいと考えるケースもあるでしょう。
そんな時に、メディカルローンの契約内容によっては、残債の一括返済を求められる場合があるのです。
医療機関と提携している信販系のメディカルローンでよく見られるルールであるため、信販系ローンを利用する場合には、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
銀行ローンの場合即日対応は不可能
メディカルローンのうち、銀行ローンを選択した場合には、即日での融資対応は不可能です。
銀行が顧客に融資をする際には、必ず警察のデータベースに申請者の照会をしないといけません。
データベースへの照会には最低でも1日を要するため、申し込みをした当日での融資金受領はできません。
急いで融資を受けたい場合には、医療機関提携の信販系ローンか、消費者金融などの即日融資対応のサービスを利用する必要があるでしょう。
審査が比較的厳しい
メディカルローンは、他の融資サービスと比較して審査が比較的厳しいといわれています。
メディカルローンのように、目的を明確にして金利を低く設定している金融サービスは、審査が厳しい傾向にあります。
同じ金融機関に融資申請をしたとしても、目的別ローンの場合は審査に通らず、フリーローンでは通過するケースも少なくありません。
メディカルローンの審査に通過できなかった場合は、審査が比較的緩めの他の金融サービスの利用を検討しましょう。
メディカルローンの申し込みの流れは利用する金融機関によって異なる

メディカルローンを利用する場合の申し込みの流れは、利用する金融機関によって異なります。
利用を決める前に、あらかじめ申し込みの流れを理解しておくと安心でしょう。
基本的な申し込みの流れは、以下の手順であることが多いです。
- 申込
- 必要書類の提出
- 審査
- 契約
- 融資
原則的には、医療機関や金融機関の指示に従って手続きを進めていきます。
医療機関提携の信販ローンは医療機関の窓口で申し込みする
医療機関提携の信販系ローンを利用する場合には、医療機関の窓口で申し込みをします。
申込書の記載方法など、その場で担当者に聞きながら対応できるため、不安は少ないでしょう。
利用する金融機関にもよりますが、多くの信販系ローンでは申し込みをした当日に審査結果を得られます。
必要書類など提出する資料の事前準備によって、スムーズな手続きを行えるでしょう。
銀行の目的別ローンは自分で手続きをする
銀行のメディカルローンを利用する場合は、自分で金融機関を訪ねて手続きする必要があります。
手続き方法は金融機関によって違いがあるケースが多いため、あらかじめ確認しておきましょう。
金融機関によっては、オンラインでの手続きができる場合もあります。
来店不要で融資手続きを完結できるサービスを提供する金融機関もあるため、来店の手間と時間を省きたい方におすすめです。
銀行のメディカルローンについては、金融機関側が明確に情報を公開しているため、利用を決める前に流れや必要書類を確認できるでしょう。
必要書類は医療機関や金融機関に確認する
ローン契約の際に提出を求められる書類は、医療機関や金融機関によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
一般的に提出をする書類は、以下のようなものです。
- 本人確認書類
- 銀行通帳・キャッシュカード
- 銀行届出印
- 収入証明書類
本人確認書類には、運転免許証やパスポートなどが当てはまります。
収入証明書類は、源泉徴収票や課税証明書などが該当します。
借入金額が高額になると、収入証明書類の提出を求めてくる金融機関が多くなります。
金融機関や医療機関への問い合わせにより、事前に必要書類についての情報を提示してもらえるため、事前に余裕を持ってチェックしておきましょう。
メディカルローンの基本的な審査基準は4項目

メディカルローンの申し込みをした後に実施される審査の基準は、金融機関ごとに異なりますが、共通するチェック項目があります。
メディカルローンの審査でチェックされる基準の主な項目を、以下に4種類紹介します。
- 成人しているか
- 収入が安定しているか
- 他社の借り入れはあるか
- 過去の信用情報に事故履歴がないか
どの金融機関も審査基準は公表しませんが、ほとんどの金融機関がチェックするであろう項目は以上の4つです。
成人しているか
ほとんどの銀行メディカルローンは、成人していないと利用できません。
20歳以上の成人しか利用できないと定めている金融機関が多く、未成年は使用できないことが多いです。
また、成人の年齢に達していたとしても、学生は利用できないメディカルローンも多いです。
一方、信販系のカードローンでは親の保証が得られると、未成年でも利用できるケースもあります。
利用するメディカルローンを選択する際には、年齢要件を満たしているかあらかじめ確認しましょう。
収入が安定しているか
メディカルローンの審査では、収入の安定性を確認されていると考えられています。
メディカルローンに限らず、金融サービスの審査において収入の安定性は、最も重要な審査要素と考えて差し支えないでしょう。
例えば、イオンのデンタルローンでは、前年度の年収が200万円以上という条件を明示しています。
しかし一方で、信販系のメディカルローンの中には、収入が安定していればアルバイトでも審査に通るところもあるようです。
収入の安定性を重視すること自体はどの金融機関も同様と考えられますが、審査を通す基準は金融機関によって違いがあると考えられます。
他社の借り入れはあるか
メディカルローンの審査においては、他社からの借り入れが他にあるか確認されると考えられています。
他社の借り入れとは、メディカルローンに限定するのではなく、負債に該当するものすべてと考えるべきでしょう。
カードローンの残債はもちろんのこと、住宅ローンや教育ローンなどの目的別ローン、あるいはクレジットカードの分割払いやリボ払いも含まれると考えられます。
メディカルローン以外の負債を多く抱えている人は、審査に通過できない可能性が高いです。
メディカルローンの審査に通らなかった場合は、審査基準が比較的緩いと考えられる金融サービスを利用する必要があります。
過去の信用情報に事故履歴がないか
メディカルローンの申し込みをする以前の、信用情報の事故履歴は必ずチェックされると考えておくべきでしょう。
信用情報の事故履歴とは、カードローンの返済遅延や任意整理など債務整理の実績のことを指します。
過去に事故を起こした金融機関がある場合、メディカルローンの申し込みをする金融機関と異なっていたとしても、過去の履歴は必ずバレてしまうのです。
金融機関は、信用情報のデータベースを閲覧できる権限があり、ローン申し込み者の過去履歴を必ずチェックします。
短くても5年間は信用情報の履歴が残るため、5年以内に金融上のトラブルを経験した人はメディカルローンの利用は難しいでしょう。
メディカルローンが使えない場合は他の融資方法を検討する

メディカルローンが使えない場合には、他の融資方法を検討しましょう。
メディカルローンが使えない状況としては、以下のケースが考えられます。
- 審査に通らない可能性が高い
- 即日で融資を受ける必要がある
近年は、治療費の準備をする目的で利用できる融資サービスは、メディカルローン以外にもあります。
メディカルローンの代替として利用できる金融サービスのうち、主なものを以下に2種類紹介します。
- 消費者金融カードローン
- クレジットカードのキャッシングサービス
状況に応じて利用しやすい金融サービスを選択し、便利に活用しましょう。
審査が比較的緩く即日対応可能な消費者金融カードローン
消費者金融カードローンは、審査が比較的緩く即日で利用できる金融機関が多いサービスです。
近年は、消費者金融カードローンのサービスに関する広告を見ない日はないくらいに広く認知されています。
大手消費者金融業者の選択により、即日融資はもちろんのこと30分以内に融資が完了するようなスピーディな対応をしてくれます。
インターネット経由での申し込みの活用により、短時間で審査などの手続きが完了し、スマートフォンなど携帯端末の専用アプリを活用したカードレスサービスが利用できます。
また、初回限定の無利息期間が設定されている金融機関も多く、活用次第で負担を抑えた融資が受けられます。
メディカルローンと比較すると、金利は高めに設定されているケースが多いのですが、融資の早さと使いやすさの面では非常に優れている金融サービスといえるでしょう。
登録済なら無審査で融資が受けられるクレジットカードのキャッシング
普段使っているクレジットカードにキャッシング機能が付与されている場合は、審査なしですぐにお金が借りられます。
クレジットカードの発行手続きをする際に、知らず知らずのうちにキャッシング機能を付与しているという人は意外に多いです。
キャッシング機能付きのクレジットカードを発行する際にすでに審査を受けるため、キャッシングを利用する際に改めて審査を受ける必要がありません。
キャッシング機能付きのクレジットカードで提携のATMを操作すると、即座に融資金を現金で受け取れるでしょう。
クレジットカードのキャッシング機能を利用する場合は、クレジットカードのショッピング枠に注意する必要があります。
ショッピング枠とキャッシングの枠は個別に用意されているのではなく、合算されているケースが一般的です。
便利だからといってキャッシングを使いすぎると、ショッピング枠を減らしてしまうことになります。
電気代や通信費、家賃など固定費の支払いをクレジットカード払いにしている場合は、キャッシングを利用しすぎることで固定費支払いができなくなってしまいます。
生活に支障をきたしてしまう恐れがあるため、キャッシングを利用する際には使用金額及びショッピング枠の残高を管理しないといけません。
メディカルローンを利用して高額医療に対応しよう
メディカルローンは、医療費支払い目的限定の融資サービスです。
医療機関と提携している信販系のローンと、銀行が運営する目的別ローンの2種類があります。
メディカルローンは、他の融資サービスと比較すると低金利でお金を借りられるなどのメリットがありますが、審査が厳しい傾向があるなどのデメリットもあります。
メディカルローンを利用する際には、金融機関ごとの申し込み方法や必要書類の事前調査を済ませ、スムーズな手続きができるようにしましょう。
また、メディカルローンが利用できない場合には、消費者金融カードローンやクレジットカードのキャッシング機能など別の融資制度の活用を検討するのも良いでしょう。
高額な医療費の支払いに対応する方法として、幅広い診療内容に対応しているメディカルローンの利用を検討してはいかがでしょうか。